
いろいろな検査の説明や、検査にまつわる用語の解説です。
HIV(エイズの原因となるウィルス)検査 | 抗体検査
スクリーニング検査 | 確認検査 | 抗原・抗体検査(第4世代検査)
即日検査(迅速抗体検査) | NAT(核酸増幅法)検査、定量RT-PCR法
自宅検査キット(簡易検査キット) | ウィンドーピリオド
HIVに感染しているかどうかを調べる検査です。日本では血液検査をします。
検査方法には、抗体検査、抗原・抗体検査、NAT検査があります。一般的におこなわれているのは抗体検査です。
検査の形態としては、検査所に行って採血をして数日後に結果を聞きに行くのが一般的ですが、最近では即日検査や自宅検査キットもあります。それぞれ長所・短所などの特徴がありますから、各項を参照してください。
感染初期には、検査をしても感染がわからない期間(ウィンドーピリオド)があるので注意が必要です。
「HIV陽性」という結果であればHIVに感染しているということです。「HIV陰性」であれば感染していません。
HIVに感染すると、血液の中に徐々にHIVに対する「抗体」が作られます。抗体検査とは、血液の中にHIVに対する「抗体」があるかどうかを調べる検査です。抗体検査は感染しているかどうか調べるのに最も信頼できる検査です。抗体検査はスクリーニング検査と確認検査に分けられます。
現在日本で使用される抗体検査は「第3世代検査」とも言われるもので、感度が非常に良く、HIVに感染したときから4〜6週間くらいたてば、ほとんどの人の感染がわかりますが、誰にでも信用できる結果を出すためには、感染するような機会があって3ヶ月以上たってから検査を受けることが勧められます。
検査はいくつかの検査方法を組み合わせて行います。スクリーニング検査は最初におこなわれる検査のことで、ふるいにかけて「感染が疑われる人」を見つける検査です。スクリーニング検査の特徴は、感度が非常に高くて見逃しがないことです。ただし感度が良すぎるので、感染していない人にも反応してしまうという弱点があります。また、簡単ですぐにできること、検査費用が安いことも特徴です。
ウィンドーピリオドを過ぎていてスクリーニング検査で陰性ならば、感染していません。
スクリーニング検査で陽性のときには、本当に感染している場合と、感染していないのに感度が良すぎて反応してしまった偽陽性(にせの陽性)の場合があります。陽性になった場合はさらに確認検査が必要です。なお、自宅検査キット(簡易検査キット)はスクリーニング検査になりますので、この検査で陽性の場合は、検査機関に行って再度検査を受けることになります。
スクリーニング検査にあたるものには、ELISA法(酵素免疫測定法)、PA法(ゼラチン粒子凝集法)、IC法(イムノクロマト法)、などがあります。
HIV検査はいくつかの検査方法を組み合わせて行います。確認検査は、スクリーニング検査で陽性になった場合に、感染している血液と、偽陽性(にせの陽性)の血液を判別する検査です。確認検査の特徴は、陽性ならば確実に感染していると判別できることです。また、検査に時間がかかること、検査費用が比較的高いことも特徴です。
確認検査にあたるものには、WB法(ウエスタンブロット法)があります。また、NAT検査も確認検査として使われることがあります。
スクリーニング検査の一種で、抗体検査に加えて「抗原検査」も一緒に行う検査方法です。特徴として、抗体検査よりも1週間ほど早い時期の感染がわかると言われています。
HIVに感染すると、体内ではだんだんとHIVが増えてきます。その後に抗体が作られてきてHIVを攻撃するので、HIVは一時減少します。抗原検査とは、HIVの一部分であるHIV抗原(p24など)を検出する検査方法なので、抗体が作られるよりも早い段階で感染を確認することができます。しかし抗原検査だけでは、HIVが減少すると反応しなくなってしまうので、抗体検査と一緒におこなうことで、反応しない時期を無くすようにしています。これを抗原・抗体検査(第4世代検査)と言います。
抗原・抗体検査のウィンドーピリオドの考え方は統一されていないために、検査機関によって異なります(1〜3ヶ月の幅があります)。それぞれの指示に従ってください。(ちなみに東京都では、感染するような機会から60日で信用できる結果が得られるとしています)
また、抗原・抗体検査はHIV-1にしか対応していないので、HIV-2については抗体検査と同じ内容の検査になります。
短時間で検査ができるHIV抗体簡易検査キットを使うことで、採血をしたその日のうちに結果がわかる検査です。採血から結果が出るまでの時間は20分くらいですが、検査運営の仕方によって結果をお知らせするまでの時間は異なります。保健所や医療機関で使われるHIV抗体簡易検査キットは、厚生労働省でも認可されている信用できるものです。
即日検査(迅速抗体検査)はスクリーニング検査の一種(IC法:イムノクロマト法)です。感度が非常に高いので、感染していないのに反応してしまう偽陽性(にせの陽性)が100人に1人くらいの割合で出てしまいます。陰性の場合は感染していないことがその場で確定しますが、陽性の場合はさらに確認検査が必要です。この場合は「迅速検査陽性」や「要確認検査」、または「判定保留」と説明され、結果が確定するのにさらに時間がかかります(たいていは数日後のお知らせになります)。
また、即日検査は抗体検査なので、誰にでも信用できる結果を出すためには、感染するような機会から3ヶ月以上たってからの検査が勧められます。
NAT検査とは、HIVの中の遺伝子の一部分を増幅器にかけて増やすことで、わずかなHIVの存在や量を調べることができる検査です。日本では、定量RT-PCR(逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)法という方法で検査をします。
NAT検査は、感染した人の治療のためにHIVの量を調べたり、輸血などに使われる血液製剤の中にHIVが含まれていないかどうかをチェックするために開発されました。また、スクリーニング検査で陽性になったときの確認検査としても使われます。
ところが最近では、わずかなHIVの存在でもわかることを利用して、感染初期でもわかる検査として利用することが試みられるようになってきました。抗原・抗体検査よりもさらに1週間早く感染がわかると言われています。しかし、NAT検査の場合は何日目がウィンドーピリオドかという結論は出ていません。なぜなら、感染してから血液の中でHIVの増える速さの個人差が大きいからです。目安として感染するような機会から6週間以上たって陰性ならば、ほぼ感染していないと考えられます。
日本では今のところ(2008年12月現在)、NAT検査だけでHIV感染の有無を判定することはできません。必ず抗体検査や抗原・抗体検査と一緒に判定をします。
また、検査に使われるNAT検査はHIV-1にしか対応していません。
ドラッグストアやインターネットなどで購入して、自分で採血をして検査するキットです。その場で結果がわかる簡易検査キットと、血液を郵送や宅配で送ると後日結果を知らせてくれるシステムのものがあります。値段は3千円から1万円くらいです。この検査キットを使うにあたって、いくつかの注意点があります。
1.日本で販売されているキットは、まず問題なく検査ができると思われますが、厚生労働省などが品質を保証しているものはありません。輸入品についてはなおさら品質の保証はありません。
2.自宅でいつでも好きなときに検査ができますが、説明書に従って自分で採血をしなくてはなりません。やり方はそれほど難しくはないですが、失敗したらお金が無駄になります。
3.血液を送って結果を知るためには、氏名や住所を知らせなくてはならない場合があります。
4.この検査は、スクリーニング検査にあたります。陰性ならば感染をしていませんが、陽性の場合は感染しているのか偽陽性(にせの陽性)なのかを調べるために、検査機関や病院に行って確認検査をしてもらわなくてはなりません。
5.誰にも会うことなく検査ができますが、自分でウィンドーピリオドを確認して、自分の責任で結果を判断しなくてはなりません。もし陽性の場合は、確認検査ができるところを自分で探して行く必要があります。万が一陽性になったときは、とても不安になるものです。そういう場合のために電話相談を設けていたり、病院の紹介を載せている場合もありますが、いろいろな状況に合わせて丁寧に対応してくれる保証はありません。
以上のことから、自分で判断して行動できる人なら大丈夫かも知れませんが、心配の度合いが大きい場合や、万が一陽性になった場合など、安易に利用すると不安が大きくなってしまうことがあるかも知れません。不安になったときのサポート体制の不備を考えると、自宅検査キットはあまりお勧めできません。よく考えてから利用してください。
感染した日から検査で感染がわかるようになるまでの期間を、ウィンドーピリオドといいます。この間は検査をしても感染していることがわかりません。例えば感染してから抗体が検出できるようになるまでの期間が、抗体検査のウィンドーピリオドになります。
ウィンドーピリオドには個人差がありますが、一般には「誰もがこの結果を信用できる」までの期間がウィンドーピリオドとされ、余裕を持って長めに設定されます。
ですからウィンドーピリオドを考えるときに、数日の誤差を深く考えることに意味はありません。ウィンドーピリオドがそもそも長めに設定してありますから、数日足りなくても結果は信用できます。でも、どうしても不安が残るようでしたら、ウィンドーピリオドをできるだけ長く超えてから再検査することをお勧めします。
抗体検査のウィンドーピリオドは3ヶ月、というのが世界中でスタンダードな考え方です。感染して4〜6週間でほとんどの人に抗体ができ、2ヶ月でほぼ全員が抗体検査でわかるようになります。しかしすべての人に信頼できる結果を返すためには、心配なことから3ヶ月以上過ぎていることが望ましいということになっています。
抗原・抗体検査のウィンドーピリオドは、抗体検査より1週間ほど短いとされています。東京都では60日としていますが、他の道府県では3ヶ月と説明しているところもあり、日本国内でばらつきがあります。海外では1ヶ月(30日)としているところもあります。それぞれ検査を受けたところの指示に従ってください。
NAT検査については、抗原・抗体検査のウィンドーピリオドよりもさらに1週間ほど短いとされていますが、世界的にもウィンドーピリオドを設定している国はありません。11日というウィンドーピリオドを示している場合がありますが、血液の中にHIVが増えてくる速さには個人差があるので、その考えはお勧めできません。「早ければ12日目でわかることがある」と考えるのが妥当です。目安として、4〜6週間でNAT検査が陰性だった場合は感染していない可能性が高く、6週間以上たって陰性ならばほぼ感染していないと考えられますが、必ず2〜3ヶ月以上たってから抗原・抗体検査や抗体検査で確認をしてください。