長期につきあう病気の時代へ

この10年で、HIVの治療が大きく進歩した。検査で早めに感染を知り、適切な時期に薬を飲み始めることができれば、HIVが血液中に測定できないレベルまで抑えこむことができるようになった。

1997年頃まで、多くのゲイ・バイがエイズを発症して亡くなった。言いにくい話題のため、その事実はあまり知られていない。もちろん、今でも発症したり、その寸前までHIVに感染していることがわからないことで、難しい症状が出るケースなどもある。またいったん治療を始めると、HIVの治療薬を飲み続けていかなければならなく、副作用が伴う可能性もある。楽観することは簡単にはできない。

しかし、こうした治療の進歩により「エイズで亡くなることは非常に少なくなった」と言われるようになってきているのも事実だ。左の調査では、HIVに感染してからの平均寿命が、治療を続けている場合、90年代と比較して30年以上伸びていることが推計されている。

つまりHIVに感染しても治療を続けながらその先の人生を続けることができる、「長期につきあう病気の時代」にHIVが変わってきているということだ。感染がわかってからの人生が、今では多くの場合は短距離走ではなく、治療を続けながら長い距離を走るマラソンになってきている。

長期につきあう病気の時代へ

「HIVに感染すること=死」じゃないという事実がわかっていても、感染しているかもと本気で思ったときにただただ怖くなってしまう、あるいはなかなか検査に踏み切れないという悩み。

また、検査で感染を告知された後に「もうダメだ」と思って、体調がひどくなるまで病院に行かなかったというケースもある。 それはまだ社会のなかで、あるいは自分の心にHIVと死がつながるイメージが残っているからだろうか?それとも、もっと他の何かを恐れているからだろうか?

もしHIVに感染していても早くに知ることができれば、エイズの発症を防ぐことができる。しかし、エイズを発症するまで感染に気づかず、より大きなつらい状況を背負ってしまうことがまだたくさんある。例えば大変な闘病生活が長期間引いたり、脳に障がいが残ってしまったり、また亡くなることもある。

エイズを発症しても多くの場合、回復することは可能だ。でも、できるだけ早めにHIVの感染を知ることにはメリットがたくさんあること、そのことを知ってほしい。

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syuki1
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