ごあいさつ

エイズ予防のための戦略研究 研究リーダー  市川誠一

HIV感染者、エイズ患者共に、日本では男性同性間の性的接触による感染が大半を占め、それぞれの報告数は増加が続いています。エイズ予防のための戦略研究では、首都圏、阪神圏のこうした現状を改善するために、ゲイ・バイセクシュアル男性が利用する商業施設、雑誌・Web等のメディア、スポーツや音楽などのサークルなど多くの方々の協力をいただいて、HIV/エイズに関する啓発普及を2006年より展開してきました。1985年に日本で初めてのエイズ患者として同性間感染が取り上げられて以来、男性同性間のHIV感染対策を重点課題として取り上げ、5年間にわたる啓発を中心とした大型予算での取り組みは初めてのことです。

こうした啓発普及を今後の取り組みに生かすためには、啓発資材やプログラムがどの程度認知されているのか、またHIV検査の受検状況や予防行動の状況に変化が現れているのか、そして啓発普及を届けることができなかった層はあるのかなど、現状を把握していくことが大切です。そのために戦略研究では、「ちょっと面倒だけど、大切なこと」として、複数のアンケート調査を「MEN-Doキャンペーン」というかたちで行ってきました。この調査結果は、HIV感染対策として必要なことを行政に提案するうえでも役に立つものです。そして何よりも、ゲイコミュニティにおけるセクシュアル・ヘルス情報として、将来的にも有用なものになると考えます。

調査の質問紙の内容や調査方法については戦略研究に関わっているNGO、NPOのゲイ・バイセクシュアルのメンバーと検討して実施してきました。また、この本でも紹介したゲイバーの利用者を対象としたアンケートでは、バーのマスター、ママさんから回答を依頼してもらったりと、多くの方々の協力をいただいて「MEN-Doキャンペーン」が行なわれています。

2010年度で戦略研究は終了しますが、ゲイコミュニティでのHIV感染への取り組みはこれからです。NGOやNPOの啓発活動の促進を支援し、コミュニティの様々な方々とのネットワークを拡げ、一人ひとりの健康(HIVに感染していても、いなくても)を大切にしていくコミュニティを形成するアプローチが今後も必要と考えます。そのためにも、コミュニティの皆さんにこのサイトをご覧いただければ幸いです。

※ 本コンテンツの元となった冊子版「データで見る、ゲイ・バイセクシャルとHIV/エイズ情報ファイル2010」は、厚生労働科研「エイズ予防のための戦略研究」MSM首都圏グループ(2006年度〜2010年度)によって制作されました。

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発行:MSM首都圏グループ


発行日:2011年7月17日


HIVマップ事務局

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