ALL JAPANキャンペーン アンケート調査報告書 2019年3月版

みんなどれだけA型肝炎のこと知ってる?

A型肝炎に関するアンケート調査報告!

「感染リスクは誰にでも起こること」
自分の健康のためにも
A型肝炎をもっと知ろう

たくさんの方にアンケートにご協力いただき、ありがとうございました。
2019年1月のアンケート結果の報告を行います。

2018年に、東京を中心に
A型肝炎が流行していたのを知っていましたか?

知ってる63.6%(20代の64.4%,30代の64.7%,40代以上の48.1%)/知らない36.4%

A型肝炎のキャンペーンについて
行っていたことを知っていますか?

知ってる65.2%/はじめて聞いた34.8%

20代の69.5%、30代の59.0%、40代以上の41.1%が知っていました。見た場所としては「9monsters」が最も多く、「ゲイバー」、「ハッテン場」がそれにつづきました。

A型肝炎の流行を知っていた方に限定して聞きます。A型肝炎の流行を知ってどんな行動を取りましたか?(あてはまるものすべて)

ケツナメ(リミング)をやめたり、避けた 27.9%
手をよく洗うようにした 24.5%
セックス前にはシャワーを念入りにした 21.6%
シャワー浣腸を特にていねいにした 13.6%
セックスをする回数を減らした 10.7%
ハッテン場に行く回数を減らした 12.4%
A型肝炎のワクチンを打った 7.9%
医者などの専門家に相談をした 4.3%

「ケツナメをやめたり、避けた」が最も多く、「手をよく洗う」、「セックス前のシャワーを念入りに」が続きました。「A型肝炎のワクチンを打った」は、このアンケートでは7.9%(236人)でした。ただし、「特に何もしなかった」と答えた人は42.6%でした。

コラム① グラフとA型肝炎の流行状況

全国と東京都のA型肝炎の報告数

2018年に国内で、特に東京都内においてA型肝炎が非常に多く報告されました。2018年の1年間で、日本全国が925件、東京都内が421件(全国の45.5%)でした。A型肝炎は通常、年間に数件程度の報告しかないため、2018年に流行していたことがわかります。2019年3月現在は流行が収まったようにみえますが、再び流行が起こる可能性も考えられます。特に男性同性間でのセックスが感染経路である報告が、多くなされました。A型肝炎のウイルスは便から排出されるため、特に男性同性間のセックスで感染するリスクが高い病気です。

A型肝炎の予防にはワクチンを
打つ必要があることを知っていましたか?

知ってる41.1%/はじめて聞いた58.9%

2018年にA型肝炎が流行していることを知っている人の割合(63.6%)に対して、予防でのワクチンの必要性を知っている人の割合が少なく、もっと知ってもらうことが必要なことがわかります。

これまでにA型肝炎のワクチンを
打ったことはありますか?

打ったことがある9.8%(20代の9.3%,30代の11.8%,40代以上の7.5%)/打ったことがない90.2%

コラム② A型肝炎はどんな病気?治療の方法は?

A型肝炎ウイルスが肝臓の炎症を起こす病気です。A型肝炎ウイルスは症状が出る前も消えてからも、しばらくは便に排出され、気づかないうちに感染を拡げてしまうことがあります。
潜伏期間は約2〜7週間です。急な発熱、全身のけん怠感、食欲不振、おう吐など、風邪に似た症状が出ます。また、ウーロン茶のような色をしたかっ色尿や便の色が薄くなります。皮膚や目の白い部分が黄色くなったり(黄疸)、さらに重症化すると劇症肝炎や腎不全になることもあります。状況が厳しいと、亡くなってしまうこともある恐い病気です。
肝炎の治療は一日中安静にして、肝機能が回復するのを待ちます。肝機能が回復するまでの期間は症状によって異なり、数週間から数ヶ月になる場合があります。肝臓の数値が正常値になれば、日常生活に戻ることができます。

ワクチンを打ったことがない人に聞きます。
打たなかった理由は何ですか?

A型肝炎の予防にワクチンが必要なことを知らなかった 47.9%
どこで打てばいいのかわからない 28.6%
病院でゲイ・バイセクシュアルであると説明したくない 24.4%
病院で打つ理由を説明するのが嫌だから 21.6%
病院に打ちに行くのが面倒だから 20.6%
A型肝炎の感染する可能性が低そうだから 16.5%
打ちに行く時間がないから 16.5%
ワクチンの値段が高い 15.4%
どれくらい効果があるのかわからないから 12.3%
体をよく洗うなど、他の予防方法で十分 6.5%
ワクチンを打つ前にすでにA型肝炎にかかった 3.6%
特に理由はない 15.2%

「予防にワクチンが必要なことを知らない」が最も多く、「どこで打てばいいのかわからない」、「病院でゲイ・バイであると説明したくない」がつづきました。

コラム③ 予防の注意ポイント!A型肝炎はワクチンで予防できる

A型肝炎は、ウイルスを含む便を介して感染が起こるため、

  • 肛門周囲をなめる(ケツナメ、リミング)
  • 肛門に触れたペニスをなめる、口に入れる
  • 肛門に触れた指や手をなめる
  • セックス後に手を洗わずに調理する、食事する

などがあると、感染が起こります。
セックスやトイレの後や調理・食事の前などに石けんと流水で十分な手洗いをすることも、いくらか感染のリスクをさげることができます。
でも、確実に予防するためには、ワクチン接種が有効です。

打ったことがない方に聞きます。
総額でいくらなら払えますか?

5,000円未満59.2%/5,000円〜10,000円程度32.7%/10,000円〜20,000円程度5.2%/20,000円〜30,000円程度2.9%

「5000円未満」が最も多く、「5,000円〜10,000円程度」がそれに続きました。ワクチンを接種する際の実際の自己負担金に比べると、払えると答えている金額は少ない傾向にあります。

ワクチンの費用

A型肝炎ウイルスの感染力は非常に強いですが、ワクチンによる予防が可能です。
初回、1か月後、半年後の3回の皮下注射が必要です。
保険適用外のため、値段は1回あたり約6,000円〜10,000円です。
3回の接種で予防する効果は約5年間です。
ただし、医療機関によって価格が異なったり、接種する回数が異なる可能性があります。そのため、詳細については医療機関に聞いてみてください。

ワクチンの接種を希望する場合、まず近くの医療機関に問い合わせてみましょう。
その際、接種の理由が言いづらい場合には、「海外旅行に行くため」と言うこともできます。

ワクチンが打てる場所

日本渡航医学会のホームページでは「学会推奨 国内トラベルクリニックリスト」を、
厚生労働省検疫所ホームページでは「予防接種実施機関」のリストを紹介しています。

A型肝炎をはじめとする、ゲイ・バイセクシュアル男性の性の健康について、
情報が欲しい時、相談がしたい時などの際に、役立つところを紹介します。

HIVマップ

HIVの総合情報サイト。すべての人にすぐに役立つ、予防・検査・相談・支援の窓口や基礎知識などを掲載している。

community center akta

新宿二丁目にある、HIVやセクシャルヘルスに関する情報センター&フリースペース。メンタルヘルス、ドラッグなどの依存症、セクシャリティについてや、バー・クラブ・ショップ情報、HIV陽性者の手記等も入手できる。

ぷれいす東京

HIV/エイズとともに生きる人たちがありのままに生きられる地域づくりをめざしている団体。HIV陽性者やその周囲の人たちのための支援、感染不安の電話相談、予防啓発、研究・研修などを実施している。

アンケート実施目的

ゲイ・バイセクシュアル男性に向けて、A型肝炎と性の健康に関する調査を実施し、今後の対策に活かしていくことを目的としました。ゲイ向けGPS機能付き出会い系アプリ上でゲイ・バイセクシュアル男性向けにバナー広告を展開し、参加者を募集しました。
2019年1月15〜25日の短い期間でしたが、4,800件を超える多くの方に回答いただきました。調査へのご協力をどうもありがとうございます。
この度みなさまに回答いただいたアンケートの集計が完了しましたので、報告いたします。 

アンケート実施方法

MSM(男性とセックスをする男性)を対象とした、無記名自記式ウェブ調査を実施
リクルート方法 : ゲイ向けGPS機能付き出会い系アプリにウェブ広告を出稿しリクルート。
調査期間 : 2019年1月15日〜25日(11日間)
質問項目 : 全31問(A型肝炎の流行の認知の有無、性行動、HIV検査行動、知識)

アンケート分析対象

有効回答は4,809件 ⇒ 分析対象は4,709件
本報告の分析対象は、日本国内に居住するゲイ・バイセクシュアル男性に限定した。

本調査は、厚生労働科学研究費補助金エイズ対策政策研究事業「HIV検査の受検勧奨のための性産業の事業者及び従事者に関する研究」の一環で実施しました。

回答者のプロフィール

有効回答は4,809件 分析対象は4,709件
本報告の分析対象は、
日本国内に居住するゲイ・バイセクシュアル男性に限定

年代

20代2,246人(68.9%)/30代1,197人(25.4%)/40代以上266人(5.7%)

居住地

北海道 128人(2.7%) 東北 171人(3.6%)
東京 1,467人(31.2%) 関東 971人(20.6%)
中部 546人(11.6%) 近畿 757人(16.1%)
中国 144人(3.1%) 四国 65人(1.4%)
九州 460人(9.8%)

HIV検査の割合

これまで生涯にHIV検査を受けた割合

ある75.3%/ない24.7%

最後にHIV検査を受けた時期

過去6か月の間 39.6%
過去6か月より前〜過去1年の間 15.0%
過去1年より前〜過去3年の間 21.2%
過去3年より前 24.1%

性感染症

これまでにかかったことのある/かかっている性感染症
(あてはまるものすべて)

梅毒 20.3% A型肝炎 6.5%
B型肝炎 14.7% C型肝炎 1.4%
クラミジア 12.7% 尖圭コンジローマ 9.2%
淋病 9.7% HIV感染症 10.9%
性器ヘルペス 3.5% いずれもない 36.0%

まんがでわかるA型肝炎予防の方法CHECK POINT