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戦略研究グループ紹介第1回・ぷれいす東京(前編)

 戦略研究参加団体の紹介シリーズ。第1弾は、ぷれいす東京(以下「ぷれいす」)です。
 前編では、スタッフの大槻知子さんに、ぷれいすがどんな団体なのか、うかがいました。インタビュー中にもさまざまな人が出入りする、活気あるぷれいす東京事務所にて収録したインタビューです。


事務所の様子

−−−−−ぷれいすはいつ始まった団体ですか?

 1994年に、任意団体として立ち上がった団体です。現在も代表を務める池上千寿子さんが、共にHIV/エイズの分野で活動をしてきた20名余りのボランティアたちと一緒に設立しました。その後、2000年よりNPO法人になり、今年はNPO法人化10周年の節目にあたります。


−−−−−ぷれいす東京、という名前の由来は?

 "Place"という英語の、人が集い、憩い、活動し、ネットワークする「場」という意味と、"Positive Living And Community Empowerment"の略をかけています。東京で活動を始めた団体として「東京」をつけて、ぷれいす東京、という名前になりました。


−−−−−主にどういった方々の支援活動をしてきたのですか?

 94年当時は、HIV陽性者に対する社会のまなざしが今より厳しかったのはもちろん、医療体制などもまだ整っていませんでした。そのため設立当初から、HIV陽性者やその周囲の人の支援を中心に継続して行ってきました。

 名前の由来にもつながりますが、HIV/エイズと共に生きる人たちがありのままに生きられる(=”positive living”)環境(=”community”)を創り出すことをめざして活動しています。そのため、支援といっても、本人の代わりに何かをしてあげるというより、その人自身がすでに持っている力を引き出す(=”empowerment”)手伝いをするというスタンスです。

−−−−−具体的には、どんな活動をしているんですか?

 ネストという、HIV陽性者のためのスペースを運営しています。利用対象者にのみお教えしている非公開の場所で、HIV陽性者が安心して集い、HIVを含むさまざまなことに関してお話したり、情報交換をしたりするためのスペースです。

 また、ネストではさまざまなプログラムを開催しています。利用者の「こういうプログラムがあったらいいな」というニーズに応えるかたちで、イベントや学習会などが企画されてきました。パートナーや家族のためのプログラムも用意しています。

 HIV陽性者が対象のプログラムでは、HIV感染を知ったばかりの人向けや、女性の陽性者向け40代以上の男性陽性者向け、結婚しているゲイの陽性者向けなどがあります。また、周囲の人たちを対象としたプログラムでも、陽性者を子どもに持つお母さん向け陽性者のパートナーで陰性の人向けのものなどがあります。
 不定期開催のものもありますが、ニーズに合わせて、個別に対応したり、グループで開催したりしています。

webNEST

 また、「HIV陽性者とその仲間たちのためのサイト」として、web NESTというウェブサイトもあります。HIV陽性者の有志とぷれいすのスタッフが集まって、HIV陽性者にとって必要な情報やリソースの提供、利用できるサービスの紹介などをしています。それぞれの経験を共有したり、もちろんさまざまな人たちと交流もできる、すごいボリュームのサイトです。ぜひご覧ください。


−−−−−ネスト以外の支援サービスはありますか?

 ひとつは、「HIV陽性者とその周囲の人のための相談サービス」があり、HIV陽性者からの電話による相談と、個室での面談に応じています。匿名で利用できますし、HIV陽性者だけでなく、その家族やパートナーの人たちからの相談も受け付けています。

 あと、ボランティアスタッフの派遣サービス「バディ」があります。HIV陽性者の中には、家事の手伝いや、通院時の付き添いが必要な人がいます。もちろん民間団体や、公的なホームヘルパーなど、ほかに利用できるサービスを優先してもらいますが、たとえば車いす利用者が「一緒に買い物に行きたい」という依頼はなかなかしづらいんですね。「バディ」では柔軟に、こういう外出の付き添いなども利用者と相談しながら行っています。


−−−−−支援活動以外では、どんな活動がありますか?

 ぷれいすの活動は、今くわしく説明させてもらった「直接支援」を中心に、「予防啓発」と「研究研修」とが3本柱になっています。そして、これら活動の3本柱で得られたものを、「情報発信」というかたちでコミュニティなどに還元しています。

 3本柱の活動は有機的に連動していて、例えば、「直接支援」で得たノウハウを、外部にも人材育成などの「研修」として提供しています。当事者の視点を生かした「研究」で明らかになったケア・サポートへのニーズや支援方法などを実際に「直接支援」のサービス改善に役立てることや、そこで得た知見を「予防啓発」のプログラム立案に応用することもあります。また、「予防」のメッセージを広めるだけでなく、その先にあるケア・サポートを充実させることが重要なので、ケアの現場に対して「研修」をすることもあります。

 活動の3本柱で得たことは、協力してくれた人たちがいるコミュニティに返したり、より広い社会に対してアドボカシーしたりするかたちで、「情報発信」に努めています。ゲイによるゲイ・コミュニティ向け活動の部門であるGay Friends for AIDSが制作したり、他団体と協力して発行したりしている冊子などもその一例です。


−−−−−とても広い範囲の活動をなさっていますが、現在スタッフさんは何名の体制でしょうか?

 2009年4月末現在、代表の池上さんを含めて、事務所スタッフが13名います。また、事務所スタッフ以外にも、184人のボランティアスタッフが活動を支えています。年齢層は20代〜70代後半で、女性男性どちらでもない、というスタッフもいますが、男女比はほぼ半々です。

 ぷれいすは活動の範囲も広いので、かかわり方もいろいろあるんです。事務所で事務作業を手伝うというのもひとつですし、事務所にこなくても、たとえばウェブサイトに書き込みをしたり、自身の経験を生かして手記を寄せたり、研究を手伝ったりなどという形で活動に協力してくれる人もいます。

 また、「HIV陽性者とその周囲の人」というと、直接支援の利用者というイメージがあるかもしれませんが、ぷれいすではスタッフとして活動している人もとても多いのが特徴です。サポートを利用されるなかで「自分にできることはないか」と申し出てくれたり、最初からボランティア活動をしたいと連絡をくれる人もいます。


−−−−−利用者とスタッフという区分も流動的で、ときに利用者、ときにスタッフなど活動を支援する人、という感じで、いろいろな面が臨機応変なんですね。

 そうですね。ぷれいすの事務所で仕事をしていると、ここには本当に多様な人が集まってきているということを実感します。HIV陽性・陰性というステータスや、ゲイやバイセクシュアル、レズビアンなどというセクシュアリティに限らず、いろんなバックグラウンドを持つ人たちが、HIVへの興味関心ということだけを共通項に集まっているようなぷれいすで、そういう人たちと知り合い、交流ができるという、とても魅力がある場所だと思います。

 また、ぷれいすではたとえば、そういうHIVのステータスやセクシュアリティを言わなくてもいいし、言ってもいい。本人が話したいと思わない限り、誰も別に敢えて聞きません。いろんなバックグラウンドを持った人たちが当たり前のように共存している、というぷれいすの環境は、ぷれいすが創り出すことをめざしている「誰もが自分らしく生きられるコミュニティ」の縮図のようなものなのかな、と思うこともあります。


−−−−−ちなみにその中で、大槻さんはどのような業務を担当されていますか?

地域におけるHIV陽性者等支援のための研究」という研究班のリサーチレジデントとして、研究活動に従事しています。

 その他には、事務所で事務・総務の仕事にかかわっています。直接支援をしている人を後方から支援するような、裏方の仕事ですね。たとえば、ウェブサイトの管理更新や、他団体との協働プロジェクトの窓口・調整などを行っています。最近では、エイズ学会の「HIV陽性者参加支援スカラシップ」の事務局を担当しました。


−−−−−他団体とのコラボレーションも多いですよね。

 そうですね、この戦略研究をはじめ、とても多いと思います。HIVの分野に投じられている資源はいろいろありますが、やはり限られています。いろんな団体がそれぞれの持ち味を生かして資源をより有効的に活用し、協働すれば、その影響力も2倍3倍になるんじゃないでしょうか。また、他団体と恊働していくという経験を重ねることにより、スタッフもいい刺激をうけたり、団体内での活動もエンパワーされたりします。


−−−−−今回のインタビューはぷれいすの事務所にお邪魔していますが、この事務所は誰が訪ねても大丈夫でしょうか?

 事務所はオープンスペースというかたちでの運営はしていませんが、事前にご連絡いただければ、たとえば利用できるサービスや情報の提供や、取材依頼などをお受けすることが可能です。


−−−−−最後に、メッセージをお願いします。

 先ほどにも言いましたが、HIVのステータスなどの属性や立場に関わらず、ぷれいすにはさまざまな人たちがさまざまな理由でアクセスしてきています。たとえばHIV陽性者やその周囲の人がなにかサポートを求めているのであれば、相談先のひとつとして覚えていてもらって、必要な時には気軽にアクセスしてもらいたいですし、情報が欲しい人やボランティアなどで活動に参加してみたい人も大歓迎ですので、ぜひご一報ください。


−−−−−HIV・エイズに関することなら、なんでも大丈夫、という感じなんですね。

 そうですね。支援団体というと、アクセスするのに一歩踏みとどまってしまうこともあるかもしれませんが、いつでもご連絡いただければうれしく思います!


−−−−−ありがとうございました!

 文中にもリンクを張りましたが、ぷれいす東京の活動は本当に多岐に渡っています。それぞれの活動について詳しく知りたい方は、ぜひ、ぷれいす東京のウェブサイトをご覧ください。

ぷれいす東京(http://www.ptokyo.com)

 次回はぷれいすスタッフの生島嗣さんに、ぷれいすと戦略研究について、お話をうかがいます!

(構成:加藤悠二)

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Category : 活動報告

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