厚生労働省の報告をみると、2008年にHIV感染者として報告された人のうち、7割以上が男性同性間での感染と報告されている。年齢別だと、20代や30代での報告が最も多い。
また、エイズ、つまり発症した状態で感染を知った人でも、ゲイ・バイの占める割合が増えていて、
2008年度の報告では約半数だった。年齢別だと30代、40代が中心だが、50代以上でも増加している。また10代から20代前半でも報告が増えている。 HIVは若い人の病気と思われがちだ。しかし年齢に関係なく、すべてのセックスの経験のあるゲイ・バイと関係が深い病気であることがみえてくる。
2008年に行われた調査によって、日本全国の20歳から59歳の男性のうちどの程度が男性との性行為経験があるのか、明らかになった。調査によると、2.0%が経験があると回答していた。つまり計算上、約68万人が男性との性行為経験をもつことになる。
このことから、ゲイ・バイの中でどのぐらいの割合がHIVに感染しているのか(有病率という)、また、そうした経験をもたない男性と比較して有病率がどの程度異なるのかを推計できるようになった。
推計したゲイ・バイのうち0.7%がHIV、0.2%がエイズで感染がわかったとして推計できる。また男性との性経験をもたない男性のうち性行為で感染した人の割合がHIVで0.005%、エイズで0.004%と推計できる(2008年度厚生労働省の報告をもとに計算)。これを経験をもたない男性と比較すると、ゲイ・バイでは感染している人の割合がHIVで約140倍、エイズで約50倍高いことがわかる。
このことはまず第一に、特にゲイ・バイに対するHIVの対策が今必要とされていることを示している。またゲイ・バイにとって、HIV/エイズの問題が身近な問題であることも知らせている。